「完成した日がゴールではない」
歯科医院の計画を考えるとき、
どうしても最初は「今」に目が向きます。
今、何台のユニットが必要か。
今、どのくらいの広さが必要か。
今、どんな内装にしたいか。
もちろん、それは大切です。
ただ、歯科医院の場合も、
完成した日がゴールではありません。
むしろ、そこから毎日の診療が始まります。
開業して数年が経つと、
患者さんの数が増えたり、スタッフが増えたり、
診療の内容が少しずつ変わってくることがあります。
最初は十分だと思っていた収納が足りなくなる。
スタッフの動線が交差して、動きにくくなる。
滅菌まわりが手狭になる。
将来ユニットを増やしたくても、配管やスペースの関係で簡単にはいかない。
こういうことは、実際にあります。
だから私は、歯科医院の計画では、
「今ちょうどいい」だけで考えないほうがいいと思っています。
大きくつくればいい、という意味ではありません。
むしろ逆です。
最初から過剰につくりすぎると、
家賃や工事費、維持費の負担が大きくなります。
でも、将来の変化をまったく考えずに計画すると、
あとから先生やスタッフに無理が出てきます。
大事なのは、
今の計画の中に、少しだけ先の余白を入れておくことです。
たとえば、将来ユニットを増やす可能性があるなら、
その位置や配管を最初から考えておく。
スタッフが増える可能性があるなら、
更衣や収納、バックヤードの使い方を見ておく。
診療内容が広がる可能性があるなら、
機械室、滅菌、技工、相談スペースなどの関係を整理しておく。
こうしたことは、
完成した写真だけを見ても、なかなか分かりません。
でも、毎日そこで働く先生やスタッフにとっては、
とても大きな違いになります。
歯科医院は、見た目だけでは続きません。
もちろん、清潔感や印象は大切です。
患者さんに安心してもらうためにも、空間の雰囲気は重要です。
ただ、それと同じくらい、
毎日の診療が無理なく回ること。
スタッフが動きやすいこと。
将来の変化に対応できること。
そこを最初に考えておくことが、
長く続く医院づくりには必要だと思います。
私は、医院の成長を「勢い」だけで考えないほうがいいと思っています。
10年後、20年後も、
先生が無理なく診療を続けられるか。
スタッフが気持ちよく働けるか。
患者さんにとって通いやすい場所であり続けられるか。
歯科医院の設計では、
そこまで見ておくことが大切です。
小さく始めてもいい。
大きく広げてもいい。
ただし、どちらの場合でも、
その医院がこれからどう変わっていくのか。
その可能性を見ながら計画すること。
それが、あとから効いてくると思います。
歯科医院づくりは、今を整え、先を見て、長く続けるための計画です。
スケッチボックスデザイン事務所
歯科医院設計【デザイン・施工】
宮城県仙台市